料理の名前から見える世界の食文化

料理をきっかけに、世界の料理名と文化の違いを探ってみました。

先週はお盆休みでしたが、皆様はいかがお過ごしでしたでしょうか。
旅行をしたり、趣味に時間を使った方も多いのではないでしょうか。

私は趣味の一つが料理なのですが、日本語の料理名は「何とか煮」「○○炒め」のような、材料と調理法を組み合わせたシンプルな名称が多いと思いました。では、海外の料理名はどうなのでしょうか。少し調べてみました。

「材料+調理法」が多い日本の料理名

日本の料理名については、「肉じゃが」「鶏の照り焼き」「野菜炒め」「魚の煮付け」など、やはり料理に使われている材料や調理法が名前になっているものが数多くあります。

もちろん例外もありますが、「何が入っているのか」「どのように調理するのか」が名前からある程度想像できる料理が多いのではないでしょうか。

これは、日本語で料理を説明するときの分かりやすさにもつながっています。

例えば「豚肉の生姜焼き」と聞けば、豚肉を生姜などで味付けして焼いた料理だと、実際に料理を見なくても何となく想像できます。

では、海外の料理名はどうでしょうか。

韓国の「ビビンバ」は、実はかなり分かりやすい名前

まず、日本でもおなじみの韓国料理「ビビンバ」。

「ビビンバ」という響きからは、どのような料理なのか少し分かりにくいかもしれません。しかし韓国語の「ビビム(비빔)」は「混ぜる」、「パプ(밥)」は「ご飯」を意味します。

つまり「ビビンバ」は、文字通りには「混ぜご飯」に近い意味なのです。

そう考えると、日本の「混ぜご飯」と似たような、非常にストレートな料理名ともいえます。

ちなみに、韓国料理には「ビビン~」という名前の料理があり、混ぜて食べる料理であることを名前から示しています。料理名そのものが「食べ方」を表しているのは面白いですね。

ドイツの「ザワークラウト」は、直訳すると「酸っぱいキャベツ」

続いてドイツの「ザワークラウト」。

ドイツ語では「Sauerkraut」と書き、「sauer」は「酸っぱい」、「Kraut」は「キャベツ」を意味します。つまり、直訳すると「酸っぱいキャベツ」です。

発酵によって酸味が生まれるキャベツ料理なので、名前を聞いただけで料理の特徴がかなり分かります。

日本語でも「酢キャベツ」などと呼べそうですが、「酸っぱいキャベツ」という名前がそのまま定着していると考えると、少し面白く感じます。

「ラタトゥイユ」は、料理そのものより「混ぜる」ことが由来?

フランス料理の「ラタトゥイユ」も、日本では比較的よく知られている料理です。

トマト、ナス、ズッキーニ、ピーマン、玉ねぎなどを使った南フランスの料理ですが、その名前の由来をたどると、現在の料理名からは少し意外な意味が見えてきます。

フランスのアカデミー・フランセーズによると、「ratatouille」は18世紀にさかのぼる言葉で、「かき混ぜる」「混ぜる」といった意味につながる古い動詞に由来するとされています。現在のような料理だけを指す言葉ではなく、もともとはさまざまな材料を使った煮込み料理を意味していました。

「ラタトゥイユ」というおしゃれな響きの料理名も、語源をたどると「いろいろ混ぜて作った料理」という、意外と素朴なところから来ているのかもしれません。

スペインの「パエリア」は、もともと鍋の名前?

スペイン料理の代表格といえば「パエリア」です。

魚介類や鶏肉、野菜などと一緒に米を炊き上げる料理で、日本でもすっかりおなじみになりました。

実は「パエリア(paella)」という言葉は、もともと料理そのものではなく、料理を作るための浅くて平たい鍋を指す言葉だったとされています。

つまり、「パエリア」という料理名は、料理の材料や調理法ではなく、「どんな道具で作るのか」というところから生まれた名前なのです。

日本にも「土鍋ご飯」など、使う道具が料理名に入るものはありますが、料理そのものを鍋の名前で呼ぶと考えると、少し面白いですよね。

こうして見てみると、料理名には、その料理の材料や調理方法だけでなく、使われる道具や、その料理が生まれた背景など、さまざまな情報が込められていることが分かります。

料理名を翻訳するのは意外と難しい?

ここまで見てみると、料理名は単なる「料理の名前」ではなく、その国の言葉や文化が凝縮されたものだということが分かります。

そして、翻訳という視点から考えても、料理名はなかなか奥深いものです。

例えば「ビビンバ」を「混ぜご飯」と訳してしまうと意味は伝わりますが、日本で定着している「ビビンバ」という料理名が持つ文化的なニュアンスは失われてしまいます。

一方で、海外の人に日本料理を紹介するとき、「肉じゃが」をそのまま「Nikujaga」と表記するだけでは、どんな料理なのか分からないかもしれません。

そのため、海外向けのメニューやWebサイトなどでは、料理名をそのまま表記するのか、意味を補足するのか、あるいは説明文を加えるのかといった判断が重要になります。

これは料理に限った話ではありません。商品名やサービス名、観光地の名称など、その国では当たり前に伝わる言葉を、別の言語でどう伝えるかという問題は、翻訳・ローカライズのさまざまな場面で発生します。

料理の名前から、その国の文化を知る

今回、海外の料理名を調べてみて感じたのは、「料理名だけでも、その国の言葉や文化を知るきっかけになる」ということでした。

材料や調理法をそのまま名前にするものもあれば、料理の特徴や食べ方、さらには料理を作った人物や歴史に由来するものもあります。

普段何気なく食べている料理も、その名前の意味を少し調べてみると、意外な発見があるかもしれません。

まだまだ暑い日が続きますが、皆様もこの夏は、いつもとは違う料理に挑戦してみてはいかがでしょうか。

そして、その料理の名前の由来まで調べてみると、食事が少しだけ「世界の文化を知る時間」に変わるかもしれません。


田中達大(マーケティング担当)

2020年カルテモ入社。翻訳コーディネーションを4年ほど担当し、現在は通訳・人材事業、営業、マーケティングを担当。前職は旅行会社にて中南米地域を扱う。中南米のほとんどの国を訪れたことが自慢。

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