昨日、新国立競技場で行われたリーグワン決勝「コベルコ神戸スティーラーズ vs. クボタスピアーズ船橋・東京ベイ」を観戦した。
スピアーズの本拠地が江戸川競技場であることを今年初めて知り、応援するようになったのだが、心からオレンジクルー(スピアーズファンの名称)になるには、乗り越えなくてはいけない障害が二つある。
一つはチーム名に「船橋」が入っていることだ。スポーツの街としての船橋を考えれば自然なのかもしれないが、八千代市民の私としては少し引っかかる。東京ベイが入っているのだから、それだけで十分ではないかと思ってしまう。
もう一つはチームカラーのオレンジである。子どもの頃からスワローズファンの私にとって、オレンジはどうしても“敵の色”だ。いわゆる読売のイメージが抜けない。クボタ時代のユニフォームは紺色で、現在のセカンドユニフォームも紺である。やはり紺の方が落ち着いていておしゃれではないか、と感じるのは私だけだろうか。。(おそらく違う)。
そんなチーム名とカラーという“個人的な課題”を抱えながらも、今年はスピアーズを応援してきた。フォワードを中心に愚直なプレーを重ねつつ、オフロードも織り交ぜながらつないでいくフィジカルラグビーは、個人的に好みのスタイルだ。
新国立競技場は5万人を超える大観衆で埋まっていた。
国歌斉唱では特定の歌手の登場はなく、スタジアム全体のファンが「君が代」を斉唱した。こうした形で君が代を歌う機会は久しぶりだったように思う。あらためて日本という国の独自性を感じ、厳かで誇らしい気持ちになった瞬間でもあった。
試合は22対13で神戸製鋼が勝利し、リーグワン移行後の初制覇を果たした。日本ラグビーの新しい歴史が刻まれた試合である。
応援していたスピアーズは、3週連続の試合の疲労が後半に出たように見えた。最後は体力の差が勝敗を分けた印象だ。
それでも、最後まで可能性を信じて攻め続ける姿には強い感動があった。「来年もスピアーズを応援しよう」と思いながら帰路についた。
さてリーグワンの特徴の一つは、その国際性にある。
神戸製鋼にはニュージーランド代表として活躍したブロディ・レタリックをはじめとする世界的選手が所属し、監督のデイブ・レニーもニュージーランド出身である。一方のスピアーズにも、元オーストラリア代表SOバーナード・フォーリー、元南アフリカ代表のマルコム・マークスなど、各国のトッププレーヤーが揃う。リーグワン単体で“世界オールスター”といっても過言ではない布陣だ。
ラグビーの特性なのかもしれないが、「国籍」という概念が比較的柔軟である点は興味深い。ラグビーワールドカップでも、日本出身ではない選手が代表として活躍している。それは単純な出身国ではなく、「どの国のために戦うか」を重視しているからではないか、と勝手ながら考えている。もしそうであれば、たいへんメッセージ性のある価値観だと思う。
そうなると、やはり気になるのはコミュニケーションである。
彼らは試合中、何語で意思疎通しているのだろうか。
ラグビーは英語圏で盛んな競技であり、基本的には英語が共通言語になっているのだろう。ただし日本人選手同士は当然日本語だろうし、現場はかなり多層的な言語環境のはずだ。昨日の試合後インタビューには通訳が入っていたが、野球などと比べると、ラグビーでは通訳の存在があまり前面に出てこない印象がある。学生時代から日本でプレーしている選手が多く、日本語が堪能なケースも少なくないのだろう。
ただ、今回の決勝を見て強く感じたのは、神戸製鋼もクボタも単なる「外国人選手の寄せ集め」ではないということだった。そこには明確なチームとしての一体感があった。全員が同じ目標を共有し、同じ戦術理解のもとで機能している“熱量”がある。
激しいコンタクトスポーツであるラグビーには、言語を超えたコミュニケーションが成立しているように見える。目に見えない連携の仕組みが確かに存在しているのだろう。
翻訳や通訳の仕事をしていると、「言葉は目的ではなく手段である」ということを実感する場面が多い。本当に重要なのは、相手を理解しようとする姿勢そのものである。
言葉はそのためのツールに過ぎない。
今回の決勝は、日本ラグビーのレベルの高さを示す試合であると同時に、多様性を力に変えるコミュニケーションのあり方を改めて考えさせられる一日でもあった。

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