先日の6/9(火)に翻訳連盟の総会、基調講演、懇親会があった。
私としては、珍しいのだが、総会から出席。
翻訳連盟は、古くからある翻訳会社、翻訳者の業界団体で、30年ほど前は私の前職の代表が長らく会長を務めていた。
カルテモとしては、数年前に入会したが、業界団体としての存在意味や目的がいまいちわからなかったのも今回出席した理由。
総会では、赤字運営であることが報告された。翻訳連盟が赤字であるとは思ってもみなかったが、どうも法人会員が減ってきている模様。
総会は、「今年も昨年と同様のことをやってまいります」というニュアンスでたんたんと進む。
質疑応答で「赤字と法人会員減少に対する対策」を聞こうかと思ったが、割と短時間で終了してしまって残念。
その後、会長と副会長による基調講演。
テーマは、「AI翻訳、進歩したからこそ必要なこと」。
会場はほぼ満席。多くの翻訳会社が、AIに対して脅威を持っている中、このテーマはおそらく大きな関心があると思う。
講演は、最初は翻訳連盟が行った非会員へのアンケート分析。
強調されていたのは、日常的にAIを使用しているにも関わらず、チェックしないで使用している人がいること。AI翻訳に潜む誤訳のリスクを語っていた。
つづいて、副会長による、AI翻訳による誤訳例の解説。これも以前からよくある、AI翻訳の誤訳リスクの話。
講演全体を通じて感じたのは、AI翻訳のリスクを正しく理解し、その上で人間による確認や品質管理の重要性を伝え、翻訳業界の存在意味を見出そうというメッセージだった。もちろん、その考え方には賛同する。実際、AI翻訳は飛躍的に進歩したとはいえ、誤訳や不適切な表現を生み出すリスクは依然として存在する。そして、そのリスクを管理することは翻訳会社の品質保証だ。
一方で、個人的にはもう少し先の議論も聞いてみたかった。
AI翻訳の誤訳リスクを指摘し、人間によるチェックの必要性を訴えることは重要である。しかし、それだけではAI翻訳が急速に普及と、その影響を受けている多くの翻訳会社に対する答えとしては十分ではないようにも感じる。
10数年前、機械翻訳の時代が到来した際には、「機械翻訳は使えない」という議論が少なくなかった。しかし現在、その議論はほぼ聞かれなくなった。同じように、「AI翻訳にはリスクがある」という主張だけでは、いずれ限界が来るのではないかと思う。
今、翻訳業界に求められているのは、AIを前提として、その力をどう活用し、どう品質へ結び付けるかではないだろうか。

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